一時はどうなるかと思った、キナリの化膿オデキ。
握りこぶし大に腫れ上がっていたため、全体像を観察する目的でガッツリ刈られたパゲ部分にも、パヤパヤと毛が生えてきました。
結局、抗生物質とステロイドを2週間服用。
しこりっぽい感じは残っているものの、なんとか元のピンクの皮膚に回復中。
キナリ自身も痒くて気にするような仕草は今のところないので、一安心。
目次
今回服用した抗生物質(抗生剤)
今回キナリが処方されたのは、『セファクリア300』というオレンジ色の錠剤。
1回1錠、1日2回の服用でした。
人間用の抗生物質では聞いた事がない名称。
似た名前はあるけれど…
セファ〜という名前から、セフェム系の抗生物質かなと考えながら調べてみたところ、動物用の抗生物質で添付文書もありました。
高嗜好性錠剤とあって、かまぼこ風味なのだそうです。
いろいろ工夫されているんですね。
有効成分はセファレキシン
人間用の抗生物質で同じモノは、
先発品:ケフレックスカプセル
後発品:セファレキシン錠
やはりセフェム系抗生物質でした。
そもそも抗生物質って何?
「微生物(細菌)が産生する物質で、他の微生物(細菌)の発育を阻害する化学物質」という事だそうです。
得意の妄想で説明すると・・・
微生物である細菌も生き物。
ウィルスよりも数十倍大きい細菌たちは、ウィルスと違い自分で増殖する技を持っています。
例えば、キナリの化膿した太もものオデキ。
この化膿オデキの中では、細菌チームAが増殖してやるぞっ!!と張り切っています。
そこへ空気中を漂っていた、違う種類の細菌チームBも登場します。
チームAは化膿オデキエリアで栄養を摂り、せっせと増殖していたのに・・・
チームBの登場で自分の食べる分の栄養が減ってしまいました。
ここから、化膿オデキエリアの奪い合いがスタート。
キィーーーっとなったチームAの細菌たちは、口から赤い火を吹いてチームBを排除しようとします。
チームBの細菌たちは、口から青い火を吹いてチームAを排除しようと応戦します。
化膿オデキの中では、壮絶なエリアの奪い合いが繰り広げられているイメージです。
この細菌たちのウェポンの赤い火、青い火 が、
他の微生物(細菌)の発育を阻害する物質=抗生物質
という訳です。
以前の勤務先の総合病院の先生は、「抗菌剤」と言う方が多くて、抗生剤と抗菌剤の違いを聞いた事がありました。
天然素材の「抗生物質(抗生剤)」に対して、人工的に作られた抗菌作用を持った化合物が「抗菌剤」。
今は、ひっくるめて「抗菌剤」と言う事が多いよ。との事でした。
この記事の中では、全てまとめて抗生物質(抗生剤)と呼んでいます。
抗生物質(抗生剤)が効く仕組み
抗生物質(抗生剤)は、細菌が増えるのを抑えたり、細菌自体を壊してくれるお薬と言う事ができます。
細菌が増える仕組みのどこかを邪魔して、菌の増殖を防いでくれるモノ。
今回キナリが処方された『セファクリア300』
調べてみると「細菌の細胞壁合成を阻害することにより抗菌作用を発揮し,その作用は殺菌的である。」とありました。
動物細胞(人間や犬など動物の細胞)に細胞壁はありませんが、細菌細胞には細胞壁があります。
これが、人間や犬の細胞と、細菌の細胞との大きな違いです。
細菌が増えようとして細胞壁を作る作業を、『セファクリア』の有効成分セファレキシンが邪魔して作れないようにしてくれるので、細胞壁を作れない細菌は増える事ができなくなってしまう。
細胞壁がない場合はセファレキシンが作用する事はないから、細胞壁のない動物の細胞にとっては大丈夫な成分と考える事ができます。
セファクリア(セファレキシン)は腎機能の状態に注意が必要
去年、キナリと今は亡き腎不全のチロルが気管支炎になった時に処方された抗生物質(抗生剤)。
動物病院の先生が選択したのは、
キナリには、セファクリア
腎不全のチロルには、アジスロマイシン
なるべくチロルの場合は、腎臓に負担がかからないようにと考えて処方してくれました。
セファクリア300 には
・腎機能に高度な障害がある場合には本剤の体内残留時間が長くなる可能性があるので、慎重に投与すること。
という注意書きがあります。
お薬は肝臓や腎臓の力を借りて代謝するわけですが、特に抗生物質(抗生剤)は腎臓で代謝されるものが多いと思います。
腎不全のように腎機能が低下している状態では、健康な場合と同じように薬物代謝ができません。
お薬の成分が体の中に残る時間が長くなり、健康な場合と同じペースで服用を続けると血液中の濃度が濃くなり、お薬が効き過ぎたり副作用が出やすくなる事があります。
そのため、このような注意書きがある場合は、通常より服用量を減らしたり、服用時間の間隔を長くするなどの調整をします。
いずれにせよ、腎臓の注意書きがあるようなお薬の場合は、腎臓に負担をかける事になるので、腎不全の犬の場合は慎重に服用しなければいけないなと考えています。
抗生物質(抗生剤)と腸内細菌叢
抗生物質(抗生剤)は細菌に対して作用するけれど、これは必ずしも化膿を引き起こしている細菌だけという訳ではありません。
以前も書いたように、腸の中にも腸内『細菌』という細菌が存在しています。
抗生物質(抗生剤)は、腸内『細菌』も細菌である事には変わりないので、善玉菌・悪玉菌などと区別せず同じように作用します。
そのため、腸内バランスがくずれて下痢をしてしまう事があります。
キナリは、『セファクリア300』で下痢をする事はなかったけれど、抗生物質(抗生剤)の性質上、腸内細菌にも作用していると考えられます。
そこで、今回は酪酸菌のミヤBM0.5錠を一緒に服用しました。
抗生物質(抗生剤)でお腹がゆるくなるような場合は、抗生物質(抗生剤)が腸内細菌にも作用してバランスがくずれているのかもしれません。
対策としては、抗生物質(抗生剤)でも死なない乳酸菌のお薬(耐性乳酸菌製剤)というものがあります。
有名なところでは、ビオフェルミンーRとか・・・
腸内環境の事を考えると、抗生物質(抗生剤)と一緒に耐性乳酸菌製剤も処方してもらうと安心かなと思います。
抗生物質(抗生剤)を2週間服用して
通常は7日間の服用期間の抗生物質(抗生剤)を14日間服用。
14日間ほど服用して効果がない場合は、その細菌には効き目がないと考えられるので、薬剤感受性の検査などを行い違う抗生物質(抗生剤)に変更する必要があります。
とりあえず、キナリの化膿オデキは回復してきたように見えるけれど、服用が終了したのでもう1度診察に行く予定。
今までは最長でも7日しか服用したことのない抗生物質(抗生剤)を14日も服用した事で、腎機能が少し気がかり。
今日、キナリの耳が遠くなってきた?と感じる事があったし。
東洋医学的には、「腎」が弱ると「耳」「つば」に現れるのだけれど・・・
口をクチャクチャして「つば」が余分に出ているような気もしたり。
少しずつお灸の腎養生に慣れてほしいなぁ。